「スパーリングとマスボクシングって違うの?」
「スパーリングは全力で打ち合い、相手を倒せば正解なの?」
「1ラウンドですぐにスタミナが切れてしまう…」
「スパーリングをやった後に頭痛やめまいがするけど、これって大丈夫?」
そんな悩みはありませんか?
この記事を読めば…
最強のトレーニング方法、スパーリングについてその効果的なやり方を詳しく知ることが出来ます。
- ボクシング歴11年
- 元スーパーライト級・
ウェルター級プロボクサー - ボクシングジムでトレーナー経験あり
- トレーナー資格保有(NSCA-CPT)

ボクゼロ現役ボクサー時代の自身のスパーリング経験をもとに本記事を書いたよ!
マスボクシングとスパーリングの違い


スパーリングもマスボクシングも同じ対人練習ですが、
打ち込むパンチの強度や得られるトレーニング効果など多くの違いがあります。
やり方からトレーニング効果まで、それぞれ解説していきます。
マスボクシング|寸止めでやる対人練習
「マス」「マススパー」とも言います。
ヘッドギアはつけずに、グローブとマウスピースだけつけて行うことが多いです。
基本的に寸止めか、軽く触れる程度で行う対人練習で、
・パンチを打つ際の姿勢やスタンス(足幅)の確認
・打ち込む際の距離感の確認
・相手の攻撃に対するディフェンス動作の確認(ガード意識の徹底)
などを意識して行います。
スパーリングと違い、強くパンチを当てることはないのでダメージはたまりません。
特にディフェンスの意識を高めることが出来るので、日頃から積極的に取り入れたいトレーニングです。



アマチュアの選手は、マスボクシングを中心にジムワークを行うよ!
スパーリング|実戦に最も近い対人練習
「スパー」とも言います。
実際の試合に、最も近い動きをする練習方法です。
実戦の感覚をつかむことができるので、プロ選手が試合で勝つためには必須のトレーニングと言えます。
普段のトレーニングで身につけた技術を、試合で出せるようにすることがキーポイントになります。
スパーリングに勝ち負けはありません。
大切なことは、「今日はこの技術を試してみよう」「こういう動きをしてみよう」というように、基礎練習で身につけた技術をリング上で実践することです。
スパーリングに必要なもの
- ボクシンググローブ(14・16オンス)
- マウスピース
- ヘッドギア
- ノーファールカップ
- ワセリン
スパーリングの際に必要な道具は、別記事で詳しく解説しています





スパーも、マスも目的意識を持ってやることがすごく重要!
トレーニング効果も格段に上がるよ。
スパーリングの絶大な効果4点


1|練習した技術を実戦で使えるようになる
スパーリングでは、シャドーボクシング・ミット打ち・マスボクシングで練習した技術を、実戦の動きの中で試します。
実際に対面する相手がいて、自分も相手も動き続けている状態で、
- 的確に相手にパンチをヒットさせることが出来るのか?
- 多少崩れた体勢からでも打ち込むことが出来るか?
- 自分のパンチに相手はどのような反応をするのか?
- この距離感でパンチがジャストミートするのか?
などを、ひとつひとつ確認しながらスパーを行います。
練習した技術を自分の本物の武器とするために、有効なトレーニングとなります。



ラウンドごとに課題と目標を決めて、実践していくとベストだね。
2|実戦形式での心肺機能の強化トレーニング
マスボクシングに比べて、スパーリングでは強いパンチを打ち抜き、相手からのパンチのダメージもありますので、実際の試合に近い疲労感が選手を襲います。
ロードワークでは得ることができない心肺機能の強化、スタミナの強化につながります。
スパーリングのラウンド数
実際の試合と同じラウンド数のスパーは、必ず行っていた方が良いです。
試合でどの程度の疲労感があるかを想定することができます。
加えて、スパーリングのラウンド数を4・6・8・10・12ラウンドと、異なるラウンド数の日を作ることで、トレーニング効果はかなり変わってきます。
短いラウンド数のスパーリング
4・6ラウンド
攻防のテンポ・スピードを上げ、短い時間の中で自分のペースをつくる練習になります。
長いラウンド数のスパーリング
8・10・12ラウンド
ペース配分を戦略的に考え、ラウンドごとに技術の課題を作って実践できます。
3|実戦を想定したメンタルの強化
スパーリングは実際の試合に近い、緊張感の中でパンチの交換をしますので、
下記のような能力など、メンタル面での強化にもつながります。
・瞬時に判断する能力
・短時間で相手の動きを分析する能力
・戦いの緊張感の中で技術を発揮する能力
練習と言えどもスパーリングは真剣勝負でお互いに打ち合いますので、
「やらないとやられる」
という、恐怖に打ち勝つ心構えが自然と養われます。
そして、そのような緊張状態で、いかに技術を発揮し、効果的なコンビネーションやカウンターを繰り出すことができるかを意識してスパーをすることが何より重要です。
4|試合前に行うスキルの最終チェック
試合を控えたボクサーが行うスパーリングは、最終的な技術チェックになります。
試合に向けた練習の中で身につけた技術を、実際にリング上で実行できるかを確認します。
実践感覚を掴むのに必須のトレーニングになります。



これをやると、試合に対する自信がかなりつくよ。
スパーリングを始めた当初はすぐバテる


スパーリングをやり始めて2、3ヶ月は1ラウンドで息が上がり、バテてしまう人は多いです。
下記のような原因が考えられます。
・無駄な力が入り、無駄な動作が多い
・緊張により、スタミナを奪われる
・慣れないヘッドギア・マウスピースで呼吸がしづらい
スパーリングに慣れ、体が適応してくると徐々に長いラウンドでも継続することができるようになります。
基本練習にはない激しい動きの連続になりますので、スパーリング自体も心肺機能の強化になります。



経験上、体が緊張しているとスタミナが全然もたなくなるね…
スパーリングでの重大事故|リング事故と安全管理
公式試合でのリング事故はネットニュース・SNS等でよく話題にのぼります。
しかし実は、スパーリング中のリング事故も決して珍しいことではありません。
ボクシングはその競技特性として、相手の頭部…急所を狙って打撃を加えるスポーツです。
たとえヘッドギアで頭部を守っていたとしても、
頭部・脳へのダメージ
⚫︎脳挫傷
⚫︎急性硬膜下血腫
⚫︎慢性外傷性脳症
上記のような重大なケガを負う確率は他のスポーツに比べて極めて高いです。
また、実際に一般会員の方がスパーリング直後に救急搬送された事例もあります。
リング事故を防ぎ、安全に、質の高いスパーリングを行い、最大の成果を得るために必要なことをまとめました。
スパーリング中の管理体勢
当日の体調の確認
トレーナーがスパーを行う2人の体調をしっかりチェックします。
- 前回のスパーの頭痛やダメージが解消されているか?
- 体で痛めている箇所はないか?
- 寝不足はないか?
- 飲酒によるアルコールが残っていないか?
- 極端な疲労状態ではないか?
練習生の方からも、体に異常が少しでもある場合はトレーナーに申告しておきます。
対戦相手の体格は極力合わせる
体重
体重が1〜2kg違うだけで、パンチの威力は数段上がります。
なのでその分蓄積するダメージも大きくなります。
身長
リーチ(腕の長さ)は身長にほぼ比例しますので、
身長差があるとパンチの距離がかなり変わります。


パンチ強度の調整
トレーナーを交えて、対戦相手と事前にしっかりうち合わせをします。
対戦相手のタイプがわかっている時は、スパー相手にその相手のような動きを意識してもらうと効果的です。
実際にリングに上がりパンチの交換を始めると、なかなか加減が難しいところもあります。
とにかく何も考えずにパンチを振り回したり、相手に打ち勝つことに意識を持っていかないように注意しましょう。
全力で打ち合うスパーリング
試合を控えたプロ選手か、練習生で熟練の方のみ行うことをおすすめします。
行う頻度
・プロ選手|週に3回まで
・練習生|週に1回まで
トレーナーの監視
2名以上のトレーナーで監視するのが理想です。
各々の練習生にトレーナーがつき、技術的なアドバイスとともにコンディションをチェックします。
緊急時のジムの対応
・AED(自動体外式除細動器)の設置
・トレーナーやジムスタッフに救命講習を受講させる
・近隣の医療機関へ迅速に受診させる
上記の設備・体勢が整っているジムを選ぶべきです。



ジムの見学の際にしっかりチェックしたいポイントだね。
スパーリング後の体の変調|体験談
現役中、激しいスパーリングで打ち合った後は、ズキズキと刺すような頭痛に襲われていました。
また、階級が1〜2階級上の選手のパンチをまともにもらった時は、スパー後に膝がガクガクと痙攣し続けていたのを覚えています。
僕の場合は一晩寝たら頭痛・痙攣はおさまりましたが、
めまいや吐き気が止まらない場合は、迷わず医療機関を受診することをおすすめします。
スパーリングで脳にダメージは蓄積します。
連日のスパーは絶対に避けましょう。
最低でも2日は休養期間を設けるべきです。



たとえ痛みは消えたと自分では思っても、過度のスパーリングにより知らず知らずのうちに脳にダメージが蓄積していく。
まとめ|スパーリングは強くなるための練習のひとつ


スパーリングはボクシングで強くなるための最強のトレーニング方法
身につけたスキルを、実際のリングの上での動きにアジャストさせていく。
本気でボクシングをする人、試合を控えたプロボクサーにとって必須のトレーニングです。
しかしその反面、スパーはリスクを伴います。
この記事で述べた脳へのダメージリスクを無視することはできません。
繰り返しますが、スパーリングに勝ち負けはありません。
「相手を打ち負かしてやる」「圧倒してやる」そんな気持ちを持つ必要はないです。
スパーでは全力でパンチの交換をする必要はなく、冷静に、基礎練習やマスで身につけた技術を実戦でテストする場として捉えてみてください。
最も大切なことは、
最大限の安全対策を行いダメージリスクを抑えつつ、スパーリングの絶大な練習効果を得ること。
そうすればスパーリングはあなたに最高のボクシングテクニックをもたらせてくれます。
これからボクシングの世界に踏み入れる方は是非、十分なスパーリングの管理体勢が整っているボクシングジムを選んでみてください。
初心者の方に向けた、ジムの選び方を別記事でまとめています


本日は以上となります。
ここまで読んでいただき感謝です。
また、次の記事でお会いしましょう!




